唯一の樹の下で

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唯一の樹の下で > TEXT > それは遠い夏の日

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arrow それは遠い夏の日
遠い夏の日。
朝から降り注ぐ太陽と、
不思議にゆらゆら揺れる道路を見ていた。
決して涼しくない風と、
ちょっと汗ばんで肌にはりついたT-シャツが心地よかった。

少し待つと君が麦わら帽子をのせてきた。
僕は君の手を引いて、熱い道路の上を走っていった。

目の前には遥かなる夏。
隣を走りぬけていった車は遥か向こうに見える
水が張ったような道路を目指し遠ざかっていった。
君は車の残していった少しの風に目を細め、遠くを見ていた。

小さな街が探検のステージだった。
二人だけのRPGは無限に、
そしていつまでも終わることは無かった。
小さな丘に登り、自分達の家を探した。
近くの木陰で、二人そろって昼寝をした。
自然の布団は不思議に柔らかくて、気持ち良かった。

夕方も近づいてきて二人で家に戻る。
母親が冷えたスイカを切ってくれた。
冷たくて、甘くて、美味しかった。

夜になって、近くの家の屋上から花火を見た。
少しだけ涼しくなった風と、
宵闇に鳴く虫と、
暗さと明るさの入り混じった、そんな夜が好きだった。

ひゅぅぅぅぅ・・・・どん
ひゅぅぅぅぅ・・・・どん

1発1発打ちあがる花火を見ていた。
何か泣きたくなるような、けど楽しいような、
そんな気持ちになった。

最後に一杯、一杯の花火が上がって、
そのまま辺りは静かになった。

けれど、胸の中では、まだ花火がはじけていた。
どん・・・どん・・・どん・・・

いつのまにか、僕と君は手を握り合って笑っていた。
ずっと笑いが止まらなかった。

明日は何処へ行こうかなんて話ながら、
小さな布団で静かに眠りについた。

それは、遠い夏の日。
text用ライン
2002/06
【コメント】
"Inspirationed by AKITO -それは遠い夏の日-(musics)"
過去形だけに纏めたが故の語調の悪さ

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