唯一の樹の下で

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それは途切れ途切れ の悲鳴と避けられぬ夢の悪夢、
囀る事すら許されない闇と閃光。
穿たれた頭蓋の表面と、Overdoseに似た深い陶酔感。
空虚な快楽が電影上の戯れを諌め、
あられもない赦しを求める。

晒された過去と現実の合間でうたた寝、
禍禍しい聖なる歌を見ず知らずの他人に歌う。

笑顔で殺す誰かは隣で堕ちていき、
冴えない顔色の仏蘭西人形は、ケタケタと笑い声で叫ぶ。
回転する台座に取り付けられた甘い蜜を吸う聖人像と、
暗闇の中に浮かび上がるような静かな妄想だけが、
心を溶かしていく、心を溶かしていく。

Baroqueの旋律の下、ライトアップされるそれぞれの生。
死すらも飲み込んで超越した何者かを形作る。

生命という偽善のために、誰かはまた赦しを請うた。
「罪深き人間と己の生すら知らぬ名もなき子供たちを…
すべて殺め、私は生きてきました」
壮大なストリングスの前にカタストロフはもうなく、
あまりに馬鹿らしい道化の虚仮に、また刻み付けるひび一本。

乱世の暗黒を飲み込んだ大いなる指導者はとうに息絶え、
母親は息子と交わり、父親は娘と交わる。

何者かが新たなる十字を掲げ、
それに賛同する己の夢に堕ちた聖人どもが叫び声をあげる。
「新たな神は人造偽造の翼を持った、何人目かの天使の中」と。
首を挿げ替えられたマネキンのようないびつさで
誰かは笑顔を見せる。

笑顔のままで人を殺す。

笑顔のままで人を殺す。

殺す。殺す

暖かい火が町を包む。
静かな雪が家を包む。
新しい神が見せた奇跡か、いつもの道化が見せた愚弄。
一瞬の平穏なのか、恒久の安楽なのか、
誰にもわからない、誰にもわからない。

操り人形は関節を逆に曲げたままカタカタと踊り、
城の中に入っていった冒険家は二度とは地上に戻らず、
彼を追っていった誰かは、二度と天に召されることはなかった。

祈り。
誰かに対する祈り。
何かに対する祈り。

誰も自分の為には祈らない。
誰も他人の為には祈らない。

祈りという言葉を持たない。
祈る術を持たない。

誰もが膝を折り、天を見つめながら祈る。
形にならず、何も乗せられることのないそれ。
あまりに滑稽な劇の一こまのような、戦慄さえ覚える。

最後の時は、近い。
text用ライン
2002/06
【コメント】
嫌いじゃない。結構。

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